こんにちは!
ろんじぱぱです!
今年ももう10月になりました。思えば、ちょうど一年前に今のパートナーと別居し、実家で娘と母三人で暮らし始めてはや一年が経とうとしています。振り返ると色々なイベントが重なり、5年分くらい成長したような濃厚な一年でした。
現在では別居したパートナーとは娘の母として、良好な関係を築いています。週2回ほど実家に来て娘と一緒に過ごしたり、彼女の家で娘が週末ステイをしたりと、結婚生活とはまた別の形での交友関係を結んでいます。
現在のように距離を取るような関係になって意外な喜びは「自分の意見を言う」ことができる「主張権」ができたこと。
以前の結婚生活では、娘の教育はパートナーが管理し、共同生活をする間柄、私は意見を抑え、家庭平和のためにかなり意見を抑えて暮らしていました。
自分の穏やかな性格がそれを許容していたので、ストレスはあまり感じませんでしたが、今振り返るとかなり無理をしていた印象です。
今回紹介する著書はまさにそのような夫婦間でありがちなコミュニケーション問題に焦点を当て、お互いが傷つけ合うことなく「言いたいことが言える」関係を目指す指南書です。
私が結婚時代に一度は読んでおきたかった一冊でもあり、私のみならず、男女の関係を営むカップル全員が、長期的関係を目指す上で目を通すべき名著です!
この本に魅せられたキラーフレーズ
ともに支え合って暮らそうと決めた私たちなのに、どうしてこんなにコミュニケーションがうまくいかないのだろう?

著者紹介:野末武義
明治学院大学心理学部心理学科教授。統合的心理療法研究所研究員。1964年静岡県生まれ。立教大学文学部心理学科卒業。国際基督教大学大学院教育学研究科博士前期課程修了。立教大学学生相談所、錦糸町クボタクリニック、国立精神神経センター精神保健研究所などを経て現職。臨床心理士、家族心理士、アサーション・トレーニング認定トレーナー、日本家族心理学会常任理事。専門は、家族心理学、カップルセラピー、家族療法、アサーション・トレーニング
「BOOK著者紹介情報」より
この本を読んだ感想
あれほど愛し合ったカップルや夫婦が破局する。
子どもの頃から不思議に感じていた世の不条理ですが、自分が実際、今あるパートナーと別居を経て、色々気付かされたことがあります。
私のケースでは、好きだから故に相手を傷つけたくない心から、言いたいことをオブラートに包んだり、主張を避け続けることで、自分の気持ちにどんどんフタをしていくパターンでした。
私のみならず、自分の思いを伝えればケンカに発展するので意見を言うことを我慢しているカップルも多いかと思います。
しかし長年積もった不満が爆発し、ずっと我慢していても報われないことを直接非難すれば、その鋭い刃は相手の心も傷つけ、一気に別れ話に発展してしまうことも珍しくありません。
本書はそのような愛し合うカップルが陥るコミュニケーションのジレンマを解消するのに目からウロコが落ちるような至極の知識が満載です。
「言いたいことを主張する」ことは決してワガママではなく、私たちは誰しもが主張する権利「アサーション権 (主張権) 」を所有していると説いています。
闇雲に相手を批判したりするような伝え方でなく、「アサーション」によって双方が気持ちを伝え合える関係ができれば、少なくとも双方がお互いの気持を理解し合い、よりよい解決策が見いだせる可能性が高くなります。。
よく会話術と聞くと、如何に相手を説得して思うように動かすことに重きが置かれがちでです。
しかし本書は、巷の書籍のような「相手を思うように動かす」ことに焦点を当てず、相手の承諾の有無に関わらず「双方傷つけることなく思いを伝え合える関係」を構築することに重きを置い非常に斬新な方法です。
長期的な関係を結ぶには一方が丸ごと得をし、一方が丸ごと損をする「ゼロサムゲーム」であってはなりません。
「アサーション」と呼ばれるコミュニケーションの土台を作ることで、双方が気持ちを尊敬し、お互いの思いを敬意を以て伝えることができるようになるのです。
心を通わせる人は恋人や夫婦だけにとどまりません。子ども、両親、友人、上司、先生、あなたを取り巻くありとあらゆる人たちに通用するのがこの「アサーション」です。
「アサーション」を知ることで交友関係がより円滑になり、また自分も心の不満から開放されます。
「なんでもうちょっと早くこの本に巡り合わなかったんだろう」とちょっと読んだ自分が悔やむような、全ての夫婦、カップルに捧げるおすすめの名著です!
気になったキーワードをピックアップ
この本を読んで目からウロコのキーワードを解説します。
思いを伝えるコミュニケーションツール
アサーションは「自己主張」ではなく、「自分も相手も大事にする自己表現」
「夫婦・カップルのためのアサーション」より
「アサーション」は3つのタイプの自己表現のうちのひとつで、「自分も相手も大事にする自己表現」です。
- 非主張的:「I’m not OK. You are OK」
言いたいこと我慢するがストレス、怒りを溜め込み、相手に誤解される - 攻撃的:「I’m OK. You are not OK」
相手の気持ちを考慮せず自己主張して、相手から信頼感や愛情を失う - アサーティブ:「I’m OK. You are OK. I message」
相手を大切にしつつ自分の気持や考えを肯定的なメッセージで伝える
私が結婚生活中に陥ったコミュニケーション問題は、相手の気持ちを大事に思うがゆえに、自分の言いたいことが言えない「非主張的な自己表現」になってしまったことが挙げられます。
また当時、パートナーはよくありがちな「攻撃的自己表現」だったために、コミュニケーションが歪ながらも需給がうまく成立していたんですよね〜
話し合いで別居を決めたときに、別居が成立して初めてお互いの気持ちを素直に打ち明けられたことを今でも鮮明に覚えています。それをなぜ結婚生活中に言えなかったのだろうかと。
相手を傷つけまいと一生懸命になっても、主張しなければ相手は自分の気持ちを理解することはありません。非主張的で、察してほしいと願いがちな「阿吽の呼吸」を重んじる日本文化の弱点でもあります。
自分の気持ちを大事にし、相手の気持ちも大事にして透明性のある関係を維持することは、お互いの信頼関係をより深いものにすることなんだと実感しています。

相手を傷つけない話し方とは
アサーティブな伝え方は「I message(アイ・メッセージ)」で伝える
「夫婦・カップルのためのアサーション」より
そもそも私たちが相手に不満を伝える前提として「二人で共有している問題を解決したい」という思いがあり、少しでも相手に「協力してほしい」「改善してほしい」と伝えることが本質のはずです。
しかし現実問題として、不満がつのると、つい相手に改善を願う前に、自分の怒りを相手にぶつけがちです。
「なぜ〜なの!」「あなたはいつも!」「何度言ったら!」など、主語は「あなた(YOU)」であり、テニスのラリーで例えれば、いきなりスマッシュ級のボールを相手のコートに打ち込んでいる状態です。
いきなり会話相手もわけが分からず左右に振らされて、ボールを返すのに精一杯。気持ちに余裕がなくストレスでいっぱいです!
どんな正しい理論をぶつけても心の余裕がなければ、会話相手に込み上げるのは「怒り」であり、「反省」でないことを自覚する必要があります。
そこで登場するのが主語を「あなた」ではなく「わたし」に置き換える「I message(アイ・メッセージ)」という円滑の魔法フレーズです。
「I message(アイ・メッセージ)」は以下のDESC法で表現できます。
- 自分にとって変えてほしい現状を自分の感情を抜いて落ち着いて描写する。
- それに対して「私は」悲しい、不快だという気持ちを伝える
- 私が相手に望む改善案を伝える
- その改善案を相手に選んでもらう
「I message(アイ・メッセージ)」の大切な要素は「自分の気持ちを相手を傷つけずに伝えること」に尽きます!
あくまでも「伝えること」がメインであり、その後の判断は相手に委ねるので、自分の思い通りの展開にならない可能性もあります。
それでも自分の感情をぶつけずに会話を進めれば、相手も感情が高ぶらずに意見交換ができるので、結果的に建設的な会話になる確率が高くなります。
私の結婚生活で一番悔いが残るのは、感情を交えない問題解決ができなかったこと。いつも重要な話をすると双方が喧嘩腰になり、ケンカなしに一度たりとも問題を解決したことはありませんでした。
その結果、最後は私は意見を言わなくなるようになり、その不満の蓄積が大きな破局へと向かった一要因になっています。
私が結婚生活で一番求めたのが、まさにこの「高ぶる感情を挟まず行う会話術」であり、本書を読んで思わず涙腺が緩くなりそうになるほど、感無量でいっぱいになりました。
人生はまだまだ続きます。
私を取り巻く人たちとのより円滑な関係を目指す上で、本書がもたらす知識が本当に力になるのを感じています。

さいごに
結婚した3組に1組が離婚する現代。またその中で離婚の理由の約半数が「性格の不一致」が占めると言われます。
「性格の不一致」というのは単に都合の良い表現で、価値観が完全に一致する夫婦などいません。
「性格の不一致」というのはいわばお互いのコミュニケーションがうまく成立せず、「言いたいことが言えない」鬱屈した不満の果てに生じる最後の結論です。
長期的な関係を維持するためには何事も「我慢」は禁物。
本書を通じて、無理やり自分の意見を押し通すのではなく、お互いが受け入れる形でのコミュニケーションを確立することができれば、お互いがストレスなく長期的な関係を築くことができます。
「愛」は名詞ではなく、動詞です。
信頼できるコミュニケーションなくしては、どれほどお互いが愛して成立したカップルでも長続きしないことが、数多の芸能関係のスキャンダルが反面教師として教えてくれています。
「愛」とはそこに当たり前にあるものではなく、互いの努力により「面倒なこと」を積み上げ、城のように築きあげるものなのです。
これからは人生100年時代。夫婦間の良質なコミュニケーションこそが長い将来を左右する重要なスキルであることは疑いの余地もありません。
ぜひ本書を通じて、誰も教えてくれなかった夫婦、カップル間のコミュニケーションの本質に触れてみて下さい。きっと私たちが「愛」という名のもとに見過ごしていた沢山の「気づき」を発見できることを約束します。
私のブログが今回紹介した本を手に取るきっかけになれば幸いです。お読みいただきありがとうございました。