こんにちは!
ろんじえぱぱです!
今回ご紹介するのは、みなさまもお馴染みのフレーズ「にんげんだもの」で有名な相田みつを氏の代表本「生きていてよかった」です。
「失敗しないように」「恥をかかないように」「勉強ができるように」など世間体に見合った「いい子」でありつづけることが理想と教えられた私にとって、相田みつを氏の人間らしいフレーズはすべて心に響きます。
なぜ「つまづいたっていいじゃないか」というフレーズひとつに私はこんなにも感銘を受けたのでしょうか。
私たちは幼少の頃から常に私生活でも勉強でも、上位を目指し、完璧を目指すよう教えられてきました。
相田みつをの独特の書体で織りなす人間らしさは、これまでの向上至上主義の世の中に対して心が追いつかず、自分の無力感や自己価値が低下している私たちをそっと両手で救い上げてくれる暖かい優しさにあふれています。
この本に魅せられたキラーフレーズ
花はただ咲く ただひたすらに

著者紹介:相田みつを
大正13年、栃木県足利市生まれ。書家・詩人。旧制栃木県立足利中学校卒料。旧制中学の頃から短歌、禅に出会い、独特の世界観を書として表現する。昭和59年、『にんげんだもの』出版を機に、多くの日本人の心をとらえ、根強いファン層を広げた。平成3年12月、67歳で逝去。
出典 : 生きていてよかった
この本を読んだ感想
相田みつを氏の独特な書体と端的で明確な表現は見る度にハッとさせられます
私たちは生まれながらに、自分なりの理想を目指して生きるよう教えられ、また脳がプログラムされています。
私たちはそのような脳のプログラム故に、SNSやネットで無意識的に他人の認識を余儀なくされ、心ならずとも他人との比較の中で自己価値を決めがちです。
他人のSNSでの充実ぶりを見て現在の自分の不甲斐なさを痛切に感じやすくなり、自分に嫌気がさして心が折れ、やがて「どうでもいい」と投げやりな気持ちになって無気力感に浸ってしまうことは私だけではないと思います。
「一生懸命やっているんだけどなんだか空回りしてる自分」
「周りを気にして自分の理想を演じていた自分」
「理想と現実のギャップで心が折れかけている自分」
生きいく中で生じる「迷い」や「心弱さ」に対し、相田みつをの独特な書体が「もっと素直になって生きなさい」と私の心をいつも後押ししてくれている気がします。
気になったキーワードをピックアップ
この本を読んで目からウロコのキーワードを解説します。
ナンバーワンにならなくてもいいメリット
花はただ咲く ただひたすらに
「生きていてよかった」より
私たちは人であるがゆえに他人が気にかかり、「認めてもらいたい」という承認欲求を常に心の内に抱えています。
例えば挨拶ひとつとっても、自分が挨拶して相手がそれを無視したら、心にさざ波が立つでしょう。一生懸命他人に良いことを行えば、見返りを無意識に期待する。それが私たちが求める自然な欲求です。
このフレーズがもっとも印象に残ることは今私が娘の育児に取り組んでいることをそのまま体現しているからです。
娘は自閉症なので、当然私が世話をしてもらうことは想定していませんし、私の人生においてなんの見返りも期待していません。
見返りを期待せず、一生懸命娘の育児に取り組むと、不思議なことに、私たち家族は娘から人としての数々の成長を学びました。
人に褒められると気分は良くなりますが、じつはその瞬間はまったく成長していないのです。
自分自身の充実感を「褒められること」よりも「成長を感じる」ことにシフトチェンジしたことは私の人生の心の持ち方の転機になりました。
見返りなどに気を奪われるくらいなら、その分まで自分の行為に本気で集中する。
真の学びと成長は他人からではなく、自らの一生懸命の学びの中から生まれます。
周りの人々の称賛は無理やり前から捕まえようとしなくても必ず密かに背中からついてくると思っています。

ギブアンドテイクよりウィンウィンの関係へ
うばい合うと足らないけれど、わけ合うとあまっちゃうんだなあ
「生きていてよかった」より
常に競争に晒されて育った私たちは成功や地位、お金などは他人と争って奪い取るものと心ならずとも感じています。
そのように奪い合うマインドセットを持った現代社会の結末はピラミッドのように中間層から底辺にかけてが大部分であることも事実。つまり七割がたの人々が不満を抱える社会構造になっているのです。
他人を意識せず自分だけを意識すれば、自然と奪い合うことから心を遠ざけることができます。
なぜなら比較対象が他人ではなく自分自身の過去になれば、関心の対象は自分自身になり、良い意味で他人に無関心になって一喜一憂することがなくなるからです。
「なぜ〜してくれないんだ!」などど信頼や愛情を他人に強要し、奪い合うことから離れて、「ありがとう」と感謝をし、見返りを求めず、純粋に行為や人に対して愛情や情熱を注ぐ。
「ギブアンドテイク」が至上主義の世の中では、返してもらう事に気を奪われると、心が疎かになって行為そのものの質が低下してしまいます。
経済では「ギブアンドテイク」でお金の価値交換が行われますが、人と人の間での愛情の価値交換は「ギブアンドギブ」の主義の方が物事が上手くいくことをこのフレーズは教えてくれています。
老いは年齢ではなく心から
セトモノとセトモノとぶつかりごっこするとすぐこわれちゃう どっちかやわらかければだいじょうぶ
「生きていてよかった」より
家庭でも仕事でも、なぜ「良くしよう」と同じ方向を向いているのに、いつもぶつかってしまうのでしょうか。
私たちが若さに対して常に憧れの気持ちを持つのはその「好奇心」と「柔らかさ」にあります。
何事にも柔らかな心を持って、偏見にとらわれず、物事に一生懸命に取り組む。
人生を生きるために、私たちが得た知識は自分を守るためですが、時にかえって余計な偏見を生み、自分の考えに固執しがちになります。
自我への固執は独特の世界観を生み出し、自分の意に沿わないと、その人を批判したり、傷つけたり、どうしても自分が世界の中心と捉えがちになります。
柔らかい心を。
お互いの考えや価値観が異なっていても、違いを理解し、うけとめることができれば、結果的にその違いが長所となってお互いに恩恵が得られます。
私たちが恐れる「老化」とは心と体が「固くなること」。
体の細胞にみずみずしさがなくなるとシワやシミの原因になるだけでなく、心が固くなれば頑固になったり融通がきかなくなり、変化に対応できなくなって人や時代から取り残されやすくなります。
柔らかい心を持つことの大切さを教えてくれた印象に残る大好きなフレーズです。
知識を知恵に変えるのは経験のみ
体験してはじめて身につくんだなあ
「生きていてよかった」より
有名な禅語に「冷暖自知」があります。
水の冷暖は自分で飲んでみて知るように、真の悟りは修行を積み重ね、自分で会得するものであることのたとえ。
Weblio辞書
私たちは生きる中で教科書や参考書に載ってない数々の人生の課題に向き合うことになります。
知識を外部から仕入れるのは自分の人生経験では足りない部分を補ってくれるので本を読むことはとても大切です。
しかしもっとも大切なことは得た知識を日常の中で実践してみること。
なぜなら本に書かれている成功体験は筆者の成功体験であって、私たち自身の成功体験ではないからです。
私たち自身が知識を日常生活に活かし、成功と失敗を繰り返して自分に合うように得た知識をカスタマイズして、はじめて心の資産「知恵」になるのです。

さいごに
私たちは日々の充実感を得るため、健全な自己否定と健全な自己肯定を心に抱いています。
健全な自己否定とは常に結果に満足せず、「まだ」の心を持って、常に向上心を持つこと。
健全な自己肯定とは辛い時に「悪いことは続かない」と考え、辛さを生きる糧にする考え方です。
この二つの歯車は絶妙な心のバランスで成り立っているために、強い外部環境の刺激によって容易にバランスが崩れやすくなります。
それゆえ常に自分の外側でなく内側に目を向け、心の状態を把握する必要があります。なぜなら内側は唯一自分がコントロールが及ぶ範囲だからです。
自分の心と向き合う「禅」やマインドフルネスに興味を持ったのは相田みつを氏の作品に影響を受けたことがきっかけになりました。
自分を優しく受け入れることは自分の思考に根がはること。
優しく迷える自分を抱擁してくれる相田みつを氏の独特で力強い書体は、必ずや一生懸命生きる私たちの心の支えになってくれるに違いありません。
私のブログが今回紹介した本を手に取るきっかけになれば幸いです。お読みいただきありがとうございました。