【読書・おすすめ本】「世界の哲学者に学ぶ人生の教室」 白取春彦 冀剣制 著

こんにちは!
ろんじぱぱです!

私が哲学に知を求めたきっかけは、娘の自閉症の育児に対し、これまでの人生経験ではメンタルが持たないという危機意識からでした。

それまでの人生は自分が感じるまま「感情的」に生きてきましたが、感情型の生き方はその場の浮き沈みが激しく、しかも人生の核となる信念がありません。

世界単位で見れば、皆それぞれの宗教があり、それが人生の信念を支えるバックボーンになっています。

しかし私たち日本人のように無宗教では、肝心な「生きる指針」を誰も教えてくれないため、困難な時に精神上の「支え」や「信念」がなく、容易にメンタルが不安定になる要因になっていると考えます。

「感情」のまま生きれば、いきあたりばったりで犬や猫と変わりません。そこで私たちが「人」たる特性である「理性」を用いる必要があります。

「理性」を代表する「哲学」は選りすぐられた先人の知恵。

私のような困難など毛ほども感じぬほど困難を生き抜き、考え抜かれた「人生の真理」はいつの時代も色褪せることのない「活きた理性」として、今を苦しむ私たちを救い出してくれます。

今回は哲学を代表する著名な12人の哲学者から、知恵のエッセンスを抜き出し、今を生きる私たちに直接役に立つ知恵を与えてくれる一冊を紹介します。

この本に魅せられたキラーフレーズ

幸福は自分で手に入れる。幸福な人生とは、外に求めるものでも運に頼るものでもない。

世界の哲学者に学ぶ人生の教室

世界の哲学者に学ぶ人生の教室

著者紹介:白取春彦

白取春彦:青森市生まれ。ベルリン自由大学で哲学・宗教・文学を学ぶ。哲学と宗教に関する解説書の明快さには定評がある。主な著書にミリオンセラーとなった『超訳ニーチェの言葉』のほか、『頭がよくなる思考術』『独学術』『完全版 仏教「超」入門』(以上ディスカヴァー刊)、『この世に「宗教」は存在しない』(ベスト新書)、『「考える力」トレーニング:頭の中の整理法からアイデアの作り方』(知的生きかた文庫)がある。


冀剣制 (き・けんせい):ニューヨーク州立大学バッファロー校哲学博士課程修了。哲学博士。台湾華梵大学哲学科教授・文学部学部長・仏教学部学部長。批判的思考・論理学・心の哲学と科学哲学などの講義を担当。また小中学生の哲学的思考教育の普及に尽力している。かつて台湾最大のネット書店「博客来」でコラムの執筆を担当。また台湾の金鐘奨に輝いたテレビ番組「青春愛読書」にゲスト出演し、中学生と読書について討論したことがある。哲学について伝える数々の著書がベストセラーとなっている。

「BOOK」データベースより

この本を読んだ感想

「なかなか哲学書に興味はあってもどうしてもとっつきにくい」と考える方には本書は最適です。

各哲学者の難解な哲学的なフレーズを二人の著者が、なるべく分かりやすい言葉で噛み砕いて咀嚼し、私たちが分かりやすく、しかも実生活で役に立つように教えてくれています。

とはいえ、本書の内容は哲学の入門書としは咀嚼しづらいことも事実。ある程度の哲学に触れたことのある初心者から中級者向けの内容になっています。

とはいえ、二人の著者が取り上げる哲学の知識は非常に興味深く、何度も「へぇ〜」と思わず唸ってしまうほど、これまでの価値観に新しい考え方を吹き込んでくれます。

今日からすぐ日常生活で実践できるだけでなく、まさに哲学の面白みを堪能するにはうってつけの一冊です!

気になったキーワードをピックアップ

この本を読んで目からウロコのキーワードを解説します。

「考える習慣」を身につければ、人生は自由になる

自分の倫理は自分で決める。各人は、善を、自分だけの倫理道徳を、みずからで発見せよ。

フリードリヒ・ニーチェ「世界の哲学者に学ぶ人生の教室」より

ニーチェの哲学は以前にも取り上げたように、「生」を重視する哲学として、私の心理に非常に大きな影響を与えています。

跳躍ニーチェの言葉

私たちは人としての本質的な欲求に「楽をしたい」があります。

近年の経済的発展はこの「より楽をしたい」という欲求を満たすために、ありとあらゆる方法を考えて今日まで実現してきました。

テレビ、冷蔵庫、洗濯機、ソファ、自動車、扇風機、エアコン。枚挙に暇がありません。

この物質的豊かさに恵まれ、住む環境に「不幸」を感じなくなったのは紛れもない事実です

しかしこの「楽をしたい」欲望は副作用があり、私たちの人生を狂わせる猛毒にもなりえます。

楽な生活に慣れると、「自分で考える力」を失い、何をするにつけても「面倒くさい」が出てくるようになるのです。

面倒くさい 口ぐせ 心理

そのような「楽」を求めて続けていると、いずれはニーチェが指摘する「末人」へと凋落していきます。頑張ることを疎ましく思い、ひたすら安楽を求めるようになってしまうのです。

モノゴトを「楽かそうでないか」の感情で決めるようになり、日常生活を自分の倫理観でなく、他人の倫理観で過ごすようになります。

食事の材料や服などを自分の意志でなく、セールで安いからという基準だけで決めてたり、「体重減らしたいけど楽なダイエットをしたい」といって安易なダイエット商品を購入したり。

ほんの一例ですが、「楽をしたい」観念にとらわれると、自分の意志でなく、「売りたい」という他人の企業の「意志」によって自分の行動がなんとなく規定されてしまうことが分かると思います。

テレビやネットでは、まさにそんな私たちの弱々しい意志につけこみ、毎日のようにCMを流し続けては洗脳してきます。商品を買ったつもりで、実は「買わされていた」という事実に気づく必要があるのです。

その端的な目に見えた結果がネットやテレビで見たコロナ初期の買い占め騒動です。不必要なものまで買い占められた最大の原因は「みんなが買っているから」。

その後供給が豊富にあると伝えられたトイレットペーパーですら、人々の恐怖にとらわれて買い占めが続いたのは、私たちがいかに「自分の頭」で冷静に考えていない証拠です。

私たちの社会は自由であるように見えて、マスコミや世間が作り出した色々な価値観に考え方自体が縛られています。

学歴、勝ち組負け組、社会的地位を重視する風潮、世間の価値観などが、考え方に刷り込まれ、それを「常識」と捉えてしまいがちです。

じつは全くそんなことはなく、他人の価値観に過ぎません。大切なことは「自分の頭」で考え、よりよい答えを導き出すこと。

「自分で考える」クセを身につけ努力する姿勢こそが、まさに「世間を生きず、自分自身を生きる」ことになり本当の「自由人」になることと考えています。

世界の哲学者に学ぶ人生の教室

世界の哲学者に学ぶ人生の教室

愛とは?哲学での愛の定義 

愛とは何よりも与えることであり、もらうことではない

エーリッヒ・フロム「世界の哲学者に学ぶ人生の教室」より

「愛」って深いテーマですよね。今の現代では幸せの象徴である「結婚」ですら、日本では3組に1組が離婚している現実。何を以て「愛」が続くのかが改めて問われる世の中になっています。

本書では「愛」について実に興味深い考察が描かれています。

商業主義が浸透している今の世の中では、市場の商品に限らず、人間や人間のすること、人生に属する事柄や人間性に関わることまでをも、商品を値踏みする承認の眼で見てしまうようになっていると指摘しています。

モノや商品にのみ有効であった価値の大小が、人間の優劣の指標にもなりつつあります。

「豊かさ」の指標が「持つ(having)」になり、「ある(being)」こととの区別が分からず、「持つ」ことだけを重要視するようになってきてしまっています。

言い換えれば、私たちは人の評価を商品のように学歴、年収、社会的地位など「スペック」で測るようになったのは、まさにこの商業主義の弊害なのです。

婚活などそのいい例です。愛情の対象を探すにも関わらず、対象に求めるのはスペックなど属性条件ばかり。まるでショッピングをする感覚で、大切な恋愛対象を商品として選んでいるようなもの。

これでは始めから「愛」の前提条件が完全に間違っていると言わざるを得ません。

恥ずかしながらこの私もそのような目線で人を見る傾向があります。今の世の中を生き抜くためにはそのような目利きも必要なことは事実です。

しかし私の結婚生活が続かなかった理由の一つはお互いが条件を突きつけ、足りないスペックを求めたが故に、最後に破綻したのだと考えています。

相手にいろいろ足りないことを求めず、ただ自ら愛を与える行為を行うことが、長い関係性を維持する上で大切なのだなと今痛感しています。

私は本当の「愛し方」を自閉症の娘から教わりました。自閉症の娘は言葉も未だ2-3語文しか話せず、しかも未だ奇声や自傷行為があります。

娘をスペックの視点で考えると、現代の商業主義上では、残酷ですが「全く価値がない」ことになることは頭の片隅で理解しています。

しかしそんな娘にもかからわず、人とは不思議なもの。なぜか以前にも増して愛情が湧いてくる自分がいました。

「〜できる」から愛するのではなく、「〜できなくても」ただ愛すことができることが本当の愛であり、自分の選んだ人をそのまま受け入れる気持ちがとても大切なこととしみじみ感じています。

娘を通して、人をスペックとして「持つ(having)」見るのではなく、ただ「ある(being)」ことに感謝するという愛し方の変化は私に想像以上の変化をもたらしました。

アリストテレスによると「寛容」は人を喜びや幸福に導くことのできる優れた内在的な性質と主張しています。

娘のスペックを気にせず、ただ愛を与える行為を行った結果、娘はすくすくと素直な子に成長しています。

また何よりも愛を与え続けた私が、娘から色々影響を受けて変化し、今では筋トレ、瞑想を始め、ブログまで書くようになったのは紛れもなく娘のおかげ。

自分にも他人にも「許す」ことを覚えると心の余裕が生まれ幸福感が高まります。

他人を心の中で許すことができれば、当然人間関係もうまくいきますし、自分を許すことができれば、完璧主義や燃え尽き症候群から開放されて、「ゆとり」をもって自己探求ができます。

「愛されたいなら愛すべき」と聞いたことがありますが、本書を通して、まさにその真意が腑に落ちました。

幸せって何?幸せの見つけ方

幸福は自分で手に入れる。幸福な人生とは、外に求めるものでも運に頼るものでもない。

アリストテレス「世界の哲学者に学ぶ人生の教室」より

「物質的に豊かになれば幸せになる」ことを信じて戦後から著しい発展を遂げてきた私たちですが、今、幸せを感じていますか?

まるで地上で見た虹のように、遠くからはくっきりと見えた幸せのカタチですが、物質的に豊かになり虹の中にいる現在でも、私たちは「幸せ」を思ったほど感じずにいます。

それどころか物質的に豊かになった時代でも、未だに増え続ける精神疾患の患者数は、物質的豊かさを極めても心から「幸せ」なることができないことが、皮肉にも証明しています。

では幸せとは何なのか?

アリストテレスは「幸福は外に求めるものではない」と説いています。

確かに今物質に恵まれている私たちは明らかに「不幸」ではありません。しかし幸福はまた別のもので探し方が違うと考えます。

本書では幸せになるヒントとして「快楽を追求するより喜びを追求するほうが得策だ」としています。

快楽は幸福と混同しやすいですが、なんといっても快楽は持続時間が短いことが特徴です。

「美味しいご飯を食べる」「旅行に行く」「高級なモノを購入する」等は確かに快楽をもたらしますが、その効果は非常に短く、その真っ最中は幸せに浸れますが、終わるとすぐ現実にもどります。

「快楽」のあくまでも一時的な興奮状態であり短期的なもの。幸福とはまた別のものなのです。

しかし私たちが常にお金を求める最大の理由はこの「快楽」を求め続けることが幸せになる道と考えています。

「幸せ」とは短期的なものでなく長時間継続でなければなりません。

そこで「快楽」の代わりに長時間継続できるものとして「喜び」を追求することを本書では幸せを得る近道としています。

例えばダイエットで言えば、目の前のお菓子やケーキは「快楽」ですが、誘惑を克服して理想の体を手に入れられれば、それは「喜び」に変わります。

「喜び」は「快楽」に比べて満足度では淡いものですが、その満足感をよりオイルヒーターのように継続させることができます。

私も毎朝筋トレに勤しんでいるのは、まだ見ぬ「理想の肉体」を求めて体が変わっていく「喜び」を得ているからです。

以前「快楽」を求める心を持っていた私は、CMに出てくる「〜で痩せるダイエット」など短期的で安易な方法に頼りがちでした。

ジョーバ、コアリズム、ワンダーコアなど、流行りのものに飛びついては思うように結果が出ず、その後は物干し竿に変わっていきました笑

幸福をもたらすものは自分の能力と意志など内在的な性質によって得た「喜び」を追い求める姿勢です。お金を武器に人やモノに頼っても結局「幸せ」はやってこないのです。

「快楽」は短期的であり、「喜び」は長期的なもの。しっかり自分の意志を投資する必要があるのです。

私にとって今「喜び」と感じているのは、筋トレを通じて代わる自分の姿であり、自閉症の娘の成長を見届けること、そしてその思いを載せたブログが皆様に少しでもシェアされることです。

本書の指摘する「快楽」と「喜び」の違いは、「幸せ」を求める上で混同しがちなので、思わず「ハッ」と點せられました。

世界の哲学者に学ぶ人生の教室

世界の哲学者に学ぶ人生の教室

さいごに

これまでの私が見る世界のメガネはたった一つ。40年の人生経験という「色メガネ」でしか見ていませんでした。

私が様々な哲学書に触れるたびに新たな知識、「色メガネ」を手に入れるたびに、これまでのモノクロでしかなかったこの人生観の色彩が変わり始めました。

様々な角度から物事を見ることができるようになり、毎日、同じ景色を見ていても以前と比べてどんどん色鮮やかになってカラフルになってきています。

喜びの中にも悲しみがあり、また苦しみや悲しみの中にも「学び」や「喜び」があるのも事実。

哲学を学ぶたびにそのような「目に見えなかった部分」が見えるようになることが哲学を学ぶ上での最大の喜びと感じています。

周りの世間やマスコミが作った世論や常識に流されず、精神や思考の面で自立し、しっかり自分の行動の軸となる「信念」を築きつつある自分に日々成長を感じています。

この「知の探求」と「自己成長」の旅は色褪せぬ趣味として、娘の育児以外での「私の生きがい」です。

自分の年齢にかかわらず、その時できる最大の知識と肉体、パフォーマンスの両面で常に「最高の自分」を目指し、常に「昨日の自分」を超えることを目標に日々怠らず精進する所存です。

私のブログが今回紹介した本を手に取るきっかけになれば幸いです。お読みいただきありがとうございました。

【読書・おすすめ本】「世界の哲学者に学ぶ人生の教室」 白取春彦 冀剣制 著
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