【読書・おすすめ本】「奴隷の哲学者エピクテトス  人生の授業」 萩原 弘之 著

こんにちは!
ろんじぱぱです!

現在、私は自閉症の娘と母の三人で生活を営んでる中で、ある時母がふとつぶやいたことがあります。

「お前は40代で働き盛りなのに、自閉症の娘の世話だけで人生が終わりそうで忍びない」と。

私はその時、「ああそれが世間一般が私を見る目線なのだろうな」とふと思いました。

確かに今現在の私の生活は仕事と家庭のほぼ往復。友だちとの遊びも母の負担を考え、以前のようにはもう遊ばなくなりました。

しかし、「今の人生がつまらないか」と問われれば、全くそんなことはなく、筋トレ、ブログの更新、娘と母のケア、ちょいと株式投資と毎日忙しく充実した毎日を過ごしています。

母は典型的な昭和人なので、母は「出世」、「名声」や「収入」が人生を豊かにするキーワードだと思っているようです。

私もこれまではその考えに囚われ、常に自分を他人と比較しては惨めな気持ちになったり、置かれた境遇を嘆いたこともありましたが、様々な哲学に触れるに従い、その執着からようやく離れることができるようになったと考えています。

今のようながんじがらめの生活の中で如何に「自由」を手に入れるのか。

今回はそのような哲学的な考えに触れるきっかけを与えてくれ、人生の見方を変えるきっかけを与えてくれた非常に思い入れが強い一冊を紹介します。

この本に魅せられたキラーフレーズ

自由に至る唯一の道は「我々次第でないもの」を軽く見ることである

奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業― この生きづらい世の中で「よく生きる」ために 

奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業― この生きづらい世の中で「よく生きる」ために 

著者紹介:荻野弘之(おぎの・ひろゆき)

上智大学文学部哲学科教授。
1957年東京生まれ。東京大学文学部哲学科卒業、同大学院博士課程中退。東京大学教養学部助手、東京女子大学助教授を経て99年より現職。2016年放送大学客員教授。西洋古代哲学、教父哲学専攻。著書に、『哲学の原風景――古代ギリシアの知恵とことば』『哲学の饗宴――ソクラテス・プラトン・アリストテレス』(NHK出版)、『西洋哲学の起源』(放送大学教育振興会)、『マルクス・アウレリウス『自省録』』(岩波書店)などがある。

「BOOK」データベースより

奴隷の哲学者エビクテトスとは?

これまで数多くの哲学者の本を読んできましたが、一番興味をそそられたのが、「奴隷出身の哲学者」という所にありました。

哲学者の数多くが裕福な暮らしをしていたのに対し、エピクテトスは奴隷出身の哲学者。エピクテトスという名前も「後になって獲得されたもの」を意味し、いかにも奴隷らしい何の意味も含まれてない名前です。

しかもエピクテトスは足を悪くしており、身体的に慢性の不自由ときています。

奴隷の出自で身の自由もなく国外追放の憂き目も会い、しかも健康面でも肢体不自由と、まさに今の言葉を借りれば「人生終わった、絶望」といっても過言ではない状況ですよね。

ところが、この奴隷の哲学者エピクテトスは日本ではあまり馴染みがないものの、古代から現代に至るまで様々な立場の違いを超えて、ニーチェやアランなど欧米の数多くの哲学者、宗教家、文学者に影響を与えてきました。

中でも一番興味深いのが、エピクテトスが奴隷の身であるにもかかわらず、解放され私塾を開設後にローマ皇帝のハドリアヌスが訪問したり、ローマ帝国の五賢帝、「自省録」で有名なマルクス・アウレリウスも思想の影響を受けたという事実です。

最低の地位である奴隷出身の思考が最高の地位である皇帝の思考に影響を与えたジャイアントキリング的なところに、この奴隷の哲学者エピクテトスの真の魅力が秘められています。

この本を読んだ感想

エピクテトスの「提要」と呼ばれる人生訓は、原文訳のままでは現代とまったく時代背景や思想が異なるため、かなり分かりにくい書物です。

しかし本書は「提要」の中から抽出した文章を訳出し、身近な現代の例を交えて分かりやすく解説しているだけでなく、各章の導入部にユニークな漫画が書き加えられています。

私たち日本人にとって全く馴染みがない人生訓「提要」を、筆者と漫画家ライターの努力によって、現代の私たちが気軽に咀嚼し、理解できるようにまで非常に分かりやすくまとめています。

モノが豊かになった今でもなぜか「生きづらさ」を感じる現代。

モノが精神的な豊かさを与えるには限界があることに私たちが薄々気づく中で、一体何が、心の豊かさを与え、私たちの気持ちを充足させることができるのか。

本書には、そんな迷える私たちが、思わず目からウロコが落ちる「人生を深く見直す」きっかけとなる魅力的なフレーズが散りばめられています。

世の中に対する見方を変える、まさに「哲学」を感じることができるおすすめの一冊です。

気になったキーワードをピックアップ

この本を読んで目からウロコのキーワードを解説します。

人生を自由に生きるための知恵

自由に至る唯一の道は「我々次第でないもの」を軽く見ることである

奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業より 

エピクテトスは”禁欲”で有名な古代のストア哲学を代表する哲学者です。私たちが口にする「ストイック」はこのストア派からきています。

しかしこの「禁欲」の解釈は異なります。

私たちが口にする禁欲「ストイック」はアスリートのように目標達成のため、ありとあらゆる快楽を遠ざけ、禁欲的な生活を意味します。

対してエピクテトスのストア派の禁欲とは、欲望を「我々次第であるもの」と「我々次第でないもの」に明確に境界線を引いています。

自分がコントロールできる範囲の物事にだけ欲望の対象を限定し、コントロールできないものは「欲さない」、つまり「禁欲」することを掲げているのです

現代の私たちが日々苦しむ悩みの根本はこの二つの欲をごちゃごちゃにしている所にあります。

例えば、私の例で言えば、「なぜ自閉症の娘が生まれたのか」、「母はいつまでたっても愚痴ばっかり」、「母が言う世間の評判」、「株はいつまでたっても上がらない笑」

これらはすべて私がコントロールできることではないことが明らかです。

他の人で言えば出世や給料、評判、セレブ、誹謗中傷など。他人と比較して嫉妬したり、失望することは今の時代ではSNSの普及で無意識に行ってしまいがちです。

他人の成功や繁栄を見て羨望して嫉妬したあげく、自分を卑下したり、競争に明け暮れたりと、自分を結果的に苦しめるラットレースになっていることにあまり気づいていません。

エピクテトスは我々がコントロールできないことに「何かに囚われながら生きる」のをやめることが、本当の意味での「自由の意志」を得る秘訣だと示しています。

自己意識を変える例を挙げます。

  • 上司の評価を気にするより、目の前の仕事をどうこなすか。
  • 他人は変えられないとするならば、自分はどのように変わればよいのか
  • トラブルや病気をただ嘆くよりも、そこで得た知見をどう利用するのか

意識の方向を少し変えてみるだけで、すべて自分を運命の鍵を握るコクピットに据えることができます。

世の中の欲望を限定し、正しく「禁欲」することで囚われの身から意志を開放し、自由に生きることを教えてくれる、思わずうなずいてします金言です。

以前、自分が痛感した体験から、「自分が変わる」ことの大切さを学びました。過去記事はこちら

自閉症 育児 自分 変える

奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業― この生きづらい世の中で「よく生きる」ために 

奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業― この生きづらい世の中で「よく生きる」ために 

他人に大切にするように自分を大切にする

君の杯が壊れた時にも、他人の杯が壊れた時と同じ態度を君は取らなければならない

奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業より 

もし友人や身内の人が失敗やトラブルで悲しみに浸っていたらあなたは何と声をかけるでしょうか?優しい言葉で励まし、時には助言もしたりしますよね。

しかしトラブルや失敗がいざ自分の身に起こると、見事なまでにパニックになり、感情がかき乱されるのは身に覚えがあるのではないでしょうか。

私も仕事でミスが続いたりすると、感情が乱れ、つい自分の不甲斐なさを責めて自己価値を必要以上に低下させる悪いクセがありました。

私たちは人に対しては客観的で正しい判断ができるのに、自分のことになると突然できなくなってしまいます。自分の落ち度があっても、失敗しても、他人に批判されても、まず自分を心を大切に守りましょう。

自分の心を守ることで反省したり、客観視するゆとりが生まれ、今後の成長につながるからです。いたずらに自分の心を傷つけても、今度はキズの治癒に追われて、肝心な問題点から目をそらしてしまいます。

自分に関する出来事をできるだけ客観視し、他人事のように捉えることで、感情の振れ幅を少なくし、冷静な判断ができて自己成長ができることをエピクテトスは教えてくれています。

私がストレスや失敗してしまった時に行う、瞬時に脳の認知を変えて、正常な状態に戻すリアプレイザルを紹介します。過去記事はこちら

ストレス 魔法の言葉

自分を大切にすることで自己成長ができ、もっと自分に優しくなれたような気がします。過去記事をご覧ください。

自分を好きになること
自己成長 やればできる

地位や資産で優越感や自慢をする勘違い

「私は美しい馬を持っている」と言うなら、君は馬の善さで得意になっているだけなのだと理解しなさい

奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業より 

資本主義の真っ只中にいる私たちは、つい地位や資産の有無で優越感を感じ、他人と比較をしがちですが、そんなわたしたちの年収や肩書にこだわる私たちの物欲主義をエピクテトスの哲学は厳しく諌めています。

「いくら私の所有物が素晴らしい価値を持つとしても、それは所有物そのものの善であり、所有者である私自身の善とは別物である」としています。

自分の所有するものを自慢しても、それが自分自身を誇ることにはならないとする、現代の常識に反目するような哲学的な教えは私の心を打ちます。

なぜなら今現代でこのような心持ちを表現すると、たった一言、「お金を持っていないものの負け惜しみ」と思われてしまうからです。

エピクテトスが主張する真の「私が持っているもの」とは偏見や先入観、欲望にとらわれず、忠実で適切に働いている心の動きであるとしています。

所有しているものを自慢しても、所詮自分以外の何かを得意がっているに過ぎません。自分が得意になってよいのは「心の動き」を適切な状態に維持していることだとしているのです。

そもそも私たちが生きている中でコントロールできるのは、「今ここ」で行う行為のみ。

その行為だけが唯一私たちが所有する「意志」であり、出世や収入などは、行為の結果において他人によって決められることで、私たちの意志とは本来無関係だからです。

エピクテトスは「今ここ」の行為を司る私たちの心の動きこそ、私たちの唯一にして最後の拠点だとし、それこそが自身がもつ真の「善さ」としているのです。

奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業― この生きづらい世の中で「よく生きる」ために 

奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業― この生きづらい世の中で「よく生きる」ために 

さいごに

「この本を読んで人生が変わったのか?」と問われれば、実際私の生活は全く変わっていません。以前のまんまです。

しかし私の「心持ち」、人生観は確実に変わりました。

私たちが生まれながらに周りの情報に触れ、感情を伴って反応するだけの生活をしていては、「ただ生きる」だけになってしまいがち。

その反応生活を抜け出す知恵こそ正に哲学であり、自分の考えの思考基準を設けることによって、世間や世論、組織などの他人の考えに自分の考えを奪われにくくなります。

自分の人生をどのように「よく生きる」のか?

「自分の体は色々な制約で自由ではないが、自分がその人生をどう思うかは自由である」という貴重な知恵に触れた瞬間、私の心は確実に身軽になりました。

これまでの当たり前に生きてきた人生観に一投を投じ、もう一度深く見つめ直すには最適の一冊です。ぜひこの機会に読んでみて下さい!

私のブログが今回紹介した本を手に取るきっかけになれば幸いです。お読みいただきありがとうございました。

【読書・おすすめ本】「奴隷の哲学者エピクテトス  人生の授業」 萩原 弘之 著
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